駒場で「食」を考える・全学自由研究ゼミナール

東京大学教養学部のゼミ『駒場で「食」を考える』から情報を発信するWebサイトです。

公開日:2010年12月9日

投稿者:terai

おはようございます、食ゼミの寺井です。

今回は、ずいぶん前になるのですが、10月にキリンビール(株)マーケティング部和洋酒担当の斎藤幸信さんに駒場へ来ていただいて、アジアにおける商品開発体験について語っていただいた時の報告です。

斎藤さんは15年にわたってアジア各国で、現地法人の立ち上げや酒類、飲料の商品開発もしくはマーケティングに従事なさってきたプロの方で大変興味深いお話を聞くことができました。

当日は、食ゼミの宣伝もかねて、日本語のわかるルーマニア人とエジプト人の留学生友達にも参加してもらい、彼らの意見も聞くことができ、有意義でしたね。まあ、実際はベトナム人の友達に参加してもらいたかったのですが、授業の関係で無理でした;;

お話の内容は、この食ゼミで扱おうとしている内容とは少し離れて、主にアジア各国でのマーケティング(どうやって商品を売るのか)が中心でした。

普通私たちは商品を売るためには何が必要かと考えた時、まっさきに頭によぎるのは、どのような商品を販売するか、つまり、商品開発でしょう。しかし、斎藤さんによると、もちろんそれは重要なファクターではあるけれど、それがすべてではないとのことです。例えば、いくら現地の人に受け入れられる商品を製造できたとしても、それが人々に認知されていなければ売れないのです。ベトナムでは、現地ブランドがやはり優勢で、そこにどう割り込んでいくことができるかなどが課題だそうです。そのためには、現地での販売形態に沿った宣伝をふくめたマーケティングが必要なのです。実際、アジアの国の中には日本のようにコンビニエンスストアがまだあまり普及しておらず、露店や小さな販売店が主な売り手である所もあるようです。また、現地で放送されたCMをみたりすることができ包括的なマーケティングの重要性を感じました。このようなお話は、従来の内需中心から外需にも目をつけようとしているキリンに所属している斎藤さんだからこそおっしゃっていただけたことですね。現地での体験に沿ったお話は自分のイメージとは結構違っていて発見が多かったです。

あと、キリンが内需中心であることも意外でした。国内ではめっちゃ有名な企業なんで、てっきり海外でもかなりのシェアをしめているのかと思ってました。コカコーラやネスレに負けないでほしい。

途中、商品開発についても少しお話をしてもらい、実際商品を試飲することができました!

飲んだのは、ベトナムで販売されているお茶と中国で販売されている午後の紅茶です。ベトナムのお茶は一見日本の緑茶のようですが、飲んでみるとかなり甘いです。暑く発汗が多くなるベトナムでは、やはり甘いものがもとめられるのでしょうか。実際、友達のベトナム人の友達もご飯の時は日本のお茶ではなく、いつも甘いミルクティーか牛乳を飲みますからね。しかし、日本人の口にはあまり合わないらしく、ゼミ仲間はみんな残していました。(僕は気にいって全部飲み干しました。)中国の午後の紅茶については、味は日本のそれとおそらく大差なかったです。おもしろかったのは、パッケージで、片方は日本語で、もう片方は中国語という構成になっていたことですね。中国ではある程度漢字が通じるので、午後の紅茶に関しては日本の漢字から発せられるイメージが中国でも温存されるそうです。しかし、例えば、みなさんがよく知っている「生茶」は、中国では異なる名前で販売されています。(すいません、名前忘れました。)なぜなら、日本では「生」という漢字から「新鮮だ」などといったイメージが喚起され購買意欲をそそるのに対して、中国では「生」という漢字からそのようなイメージは喚起されないからだそうです。ここでも、やはり味以外の部分が関係していますね。

今回、お話を聞いて思ったのは、「メディアなどを通じてなんとなく抱いていたマーケティングへのイメージと実際に現地もしくは現場での体験から得られる情報は全く異なるなあ」ということです。他にも、現地での様々なエピソードを聞くができて、本当に楽しかったし、めったに飲めない海外の飲料を試すことができて、良い体験ができました。

斎藤幸信さん今回はありがとうございました。

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