2015年度-課題2:水素社会の実装に向けて必要な技術開発・市民理解について考える
公開日:2016年3月1日
投稿者:sakaguchi
Contents
授業担当
松本悠(東京大学教養教育高度化機構初年次教育部門)
楠春奈・武田隆太・吉田拓実(東京大学教養教育高度化機構初年次教育部門 特任研究員、株式会社リバネス)
佐野誠治(トヨタ自動車株式会社 技術統括部 主査 担当部長)
概要
2014年6月には「水素・燃料電池戦略ロードマップ」が経済産業省より発表され、2040年を目標に二酸化炭素フリーの水素供給システムを全国に展開する考えが示されました。水素社会の到来が迫る中、「水素リテラシー」の向上が必要になっています。
水素社会とはなにか?水素はどういう役割なのか?実際にどういう使われ方があるのか?などを、実例を通して学び、実験機で実際に触れ、未来の水素社会を実現するにあたり、どのような技術的課題や社会的課題があるのか、普及にあたって何が必要不可欠か、など幅広い視野で議論してもらいました。
TOYOTAの燃料電池自動車、「MIRAI」を例に挙げ、水素を用いたエネルギー利用について現状と今後について広く議論してもらいました。技術的な点よりは、どのような利用法があるか、普及させるにはどうしたらよいか、企業が積極的に開発できるには、などグループディスカッションしてもらいました。
授業の流れと様子
初めに、トヨタ自動車技術統括部の佐野誠治様から、「自動車からみた、世界のエネルギー」と題したプレゼンをしていただきました。自動車の歴史を振り返り、現在の自動車業界の挑戦として、水素自動車の普及についてお話いただきました。
その上で、なぜ水素なのか?(水素の利点)、水素社会とはなにか?水素社会の課題は?などについて、グループでディスカッションしてもらい、各グループで口頭発表してもらい、水素社会に関連したキーワードをまとめました。
また、実際に模型の水素カーを動かし、そもそものエネルギー源は何か、水素自体の移動はどうなっているか、車を動かすには何が必要か、といった事を手で触れ、目で見て学んでもらいました。各チームで、議論する課題を改めて絞り、選んだ課題について深く議論をすすめてもらいました。
学生のレポート
チーム1:企業が水素エネルギー実用技術を開発できるための環境整備について
文系の学生が多いグループでしたので、企業が新しい技術を先駆けて開発するための環境整備について、社会全体を包括的に話し合ってくれました。地方自治体と企業の関係、観光との関連付け、行政からの補助金制度など、金銭の具体的な流れや、法律にまで言及した、他のグループとは視点の違ったプレゼンでした。
チーム2:一般市民の水素に対する意識向上について
水素社会の実現には、まず一般市民の水素に対する意識を改善する事が必要、という観点から、どうしたら水素を日常生活の一部として受け入れられるようにできるか、話し合ってくれました。まずは利用する、利益が得られるようにする、水素が使われていると分かる設備をつくる、など難しい事は分からなくとも、生活に溶け込んでいる事を示すことが、第一歩として大切である、というプレゼンでした。
チーム3:一般家庭における水素利用について
一般家庭における、水素の具体的な利用方法や、水素の生成方法・運搬方法について、議論してくれました。利用方法は、色々案が出たようですが、現実的なものは自動車に落ち着いたようでしたが、水素の生成方法や運搬については、文献を検索し、アンモニアが使えるのではないか、という結論まで達しました。
学生の感想
水素社会についてよく考えられました
先端的な技術だと、現状存在しない用途を考えつくのは難しい
課題の範囲が広いので絞る事が難しかった
アイデアを結び付ける事ができなかった