2016年度-課題2:スマートホーム
公開日:2018年1月12日
投稿者:advtech
授業担当
松本悠(東京大学教養教育高度化機構初年次教育部門)
上野裕子・塚越光・鷲見卓也(株式会社リバネス)
坂本様・森行様(THK株式会社)
概要
THKさんでは、直線や回転の可動部品(アクチュエータ)の製品が専門であり、それらを”家”で利用した新たなスマートな生活を提案してもらいました。家の中で何かを可動な物として考えた時、何が便利になり生活がスマートになるか?従来の捕らわれた住環境のイメージを壊す、自由な発想を学生に期待しました。
授業の流れと様子
初めに、THKからお越しいただいた坂本様から、企業紹介や製品の説明(どのような製品のどの部分に使われているのか)、そしてTHKとして今後の社会で貢献できる分野を提示していただきました。その中で、特に「『住』の課題を解決する、まだ世にない新しい製品を開発せよ」というミッションを学生に提示していただきました。自分たちの出したアイデアによって、どのような変化があり、どんなインパクトがあるのか、そのインパクトの大きさが変革を生み出す源であることを意識してもらいました。
2班に分かれ、それぞれ、現在の日本の住環境に置ける課題発見から取り組みました。一つは、家事の大変さを解消したい、との方針から、特に作業が効率化されていない洗濯について焦点をあてて、新たな洗濯の形を提案してもらいました。もう一班は、日本の住宅空間自体が狭いことが、全ての根源であるとの意識から、空間を効率よく活用できる家を提案してもらいました。
最後には、企業の方々に、学生たちのプレゼンを聞いていただき、質疑応答の後、講評と学生との交流もしていただきました。
学生のレポート
1班:未来の洗濯のかたち
1班は、問題点として、①洗濯は脱衣から洗浄・乾燥・収納まで工程が非常に多く無駄がある、②作業をしていない時間であっても待ち時間としての拘束時間が長く心理的負担が大きい、を挙げました。これらに対する解決方法として、①工程の簡略化、②時間的制約の排除によるストレスの緩和、を総合して、タンス型全自動洗濯機を提案してくれました。
タンス型全自動洗濯機は、どうしても大型になりがちなため、設置場所はどこか?という質問がありました。太陽光で干す事を想定し、ベランダに窓からはみ出す形で後から設置もできる、というコンセプトでしたが、ターゲットユーザーは一人暮らしのサラリーマンにある事から、やはり一人暮らしの部屋では設置場所がないのではないか、という疑問が拭えなかったようです。
2班:オールインワンのワンルーム
問題点として、日本の居住空間がそもそも狭い、という点を挙げてくれました。かと言って、簡単に空間は広げられないし、浴槽やキッチン、寝室など大きくしても仕方ない部屋もある、との意見もありました。
これらを解決するために彼らが出したアイデアは、部屋の役割を変えられるシステム、でした。つまり、部屋の数を減らし一部屋を大きくし(=ワンルーム)、かわりにその一部屋で様々な用途に使える(=オールインワン)、というアイデアです。THKのレールを使って、ベッドを収納したり、システムキッチンごと収納したり、技術的には可能なのではないかと提案してくれました。
しかし、この様なシステムを仮に導入したとして、家賃はかなり上がると想像できます。それならば、その上がった家賃分で、もとから広い部屋を借りた方が良いのではないか、という意見もありました。
学生の感想
ターゲット層や課題を明確にすることが、その後のアイデアを深めていくうえで重要だと学びました。
THKの方がお話しされた事(収益の話をする、常に疑問を持ちづ付けるなど)や指摘して下さったことはどれも印象に残る興味深いものであり、学ぶべきことが含まれていた。
ワクワクする事を考えたいけれど、そのためには地道に調査したり考えたりが必要。フラッシュアイデアを口走る事は簡単だけれど現実化させながらワクワクを保つって難しい
新しいモノを想像するときは、まず初めにしなければならないのは、今、自分たちが困っている事+解決したい課題をたくさん並べてみることなのだと知ることができた。
ただ単に夢物語を並べるだけではなく、現実的な問題(売上、コスト、市場規模、大きさ、置き場所など)をもっと深く詰めて考えていかなくてはいけない