祝日に見るウズベキスタン文化
公開日:2011年9月2日
投稿者:uzstudent2011s
ウズベキスタンで行うプレゼンテーションの準備をみなさん各自進めているであろう。そのなかでも私は日本の文化・慣習・行事などを春・夏・秋・冬の四季にわけて紹介するグループに所属している。
日本の行事についていろいろと調べているなかで、ふと日本の「祝日」が日本の文化を象徴的に表していることに気付いた。祝日をみると、建国や独立といった国の歴史的事件やその国で大きな意義を持つ宗教的慣習が如実にわかる。
ということは、ウズベキスタンの祝日とその祝日が祝日たる由縁を調査すればウズベキスタンの文化やウズベキスタンの人々が重要視している行事について少しは理解が深まるのではないか。そう考えさっそくウズベキスタンの祝日について少し調査を試みた。
ますは、ウズベキスタンの祝日と比較しやすいように参考までに日本の「国民の祝日」を以下に記す。
1月1日 :元日 年のはじめを祝う。
1月の第2月曜日:成人の日 おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
2月11日:建国記念の日 建国をしのび、国を愛する心を養う。
3月下旬の春分日:春分の日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。
4月29日:昭和の日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
5月3日:憲法記念日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
5月4日 :みどりの日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
5月5日:こどもの日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
7月の第3月曜日:海の日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
9月の第3月曜日 :敬老の日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
9月下旬の秋分日:秋分の日 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
10月の第2月曜日:体育の日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
11月3日:文化の日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。
11月23日:勤労感謝の日 勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
12月23日:天皇誕生日 天皇の誕生日を祝う。
(内閣府HP「「国民の祝日」について」より)
次に、ウズベキスタンで祝日とされているのは以下である。
1月1日 : 新年 Новый год
3月8日 :女性の日 День женщин
3月21日 :ナウルーズ Навруз
5月9日 : 戦没者慰霊の日 День памяти и почестей
8月30日 : ルザ・ハイート(断食明け大祭) Руза хайит
9月1日 : 独立記念日 День независимости
10月1日 :教師の日 День учителя и наставника
11月6日 : クルバン・ハイート(犠牲祭)Курбан хайит
12月8日 :憲法記念日 День Конституции
(JETRO日本貿易振興機構HP「海外ビジネス情報 ウズベキスタン 祝祭日より」)
上記の日付は2011年のデータであり、春分の日にあたるナウルーズやラマダーン終了日に行われるルザ・ハイートは年によって日付が変わることもある。
1月1日に新年を祝うことや、春分の日を祝うこと、憲法記念日を祝うことなどは日本との共通点であろう。ただし、日本の場合には各行事のなかでも新年の行事に重きが置かれるのに対して、ウズベキスタンで重要視されるのは春分の日ナウルーズである。ナウルーズはペルシア語で「新しい日」という意味で、中央アジアからアフリカに至る広い地域で祝われている。ウズベキスタンでは3000年以上もの伝統をもつ行事であるようだ。長い冬を耐えて乗り越えて、やっと暖かくなり木々も目覚め始めるこの時期は農業的にも重要な意味を持ち、各地で音楽や舞踊のイベントが開かれるなど盛大に行事が行われる。家庭でも親戚中が集まって伝統料理の「スマラク」を作って食べる。
ほかにもラマダーン明けのお祭りであるルザ・ハイートや犠牲祭であるクルバン・ハイートはウズベキスタンの「イスラム教」的側面が強く感じられる祝日である。こうしたイスラム祭のときにはお祈りのあとに施しをあげたりもらったりする習慣があるようで、こうしら「施し」の文化に日本との違いを強烈に感じた。
興味深いのが、「女性の日」が存在することである。「女性の日」は国際婦人デーとも呼ばれ、女性のための祝日である。「女性の日」には男性が女性になにかプレゼントを贈る習慣がある。プレゼントはたいてい花であることが多い。日本でも、女性が男性にプレゼント、たいていはチョコレートを贈る行事、バレンタインデーが存在しており、少し似ている。ただしバレンタインデーは女性が好きな男性に自分の気持ちを伝えるという側面があるが、ウズベキスタンの女性の日もそういう側面があるのであろうか。とにもかくにも、この日は一年で一番花が売れるため、街の中心部のバザールには花屋の露店が立ち並ぶ。花の需要が多いため、商売の原則通り花の値段も高騰する。もし知り合いの女性みんなに花を贈るとしたら、男性は出費に頭を悩ます一日になりそうだ。
今回ウズベキスタンを訪問する祭は祝日を経験することはできないが、今度ウズベキスタンを訪れる機会があれば、祝日を経験しウズベキスタンの人々とともに祝日を祝ってウズベキスタンの文化に触れたい。
文科二類2年 斉藤江里