理想の教育棟・ZEBLOG

東京大学駒場キャンパス・理想の教育棟のZEB(Zero Energy Building)広報チームの活動レポートです。

住先生講演 予習

公開日:2012年1月21日

投稿者:sakaguchi

今回講演していただく住明正教授は地球温暖化問題に中心的に取り組んでこられました。
そこで、地球温暖化が引き起こされる流れとそれに対する人間社会の変遷をまとめたいと思います。

温暖化における7つのフェーズ

まずは「1.社会経済活動、GHG(Green house gas: 温室効果ガス) 排出」のフェーズで、人間社会の社会経済活動によって温室効果ガスの排出量が決まる(温室効果ガスの種類によっては自然由来のものも存在する)。

そして「2.炭素循環、大気中濃度」のフェーズに入り、大気中に排出された温室効果ガスは、大気、海洋中を循環しながら、大気中濃度を決定していく。

大気中の炭素濃度によって、「3.温暖化・気候変動」フェーズにあたる気温の上昇、海面上昇が引き起こされる。

その後、「4.人間社会、生態系への影響」フェーズに入り、海抜の低い地域の水没や種の絶滅、食料生産や水資源の変化といった影響が現れる。

それらに対し、5.から7.は人間社会の対応があげられている。「5.適応策」では、温暖化・気候変動した世界にあわせて適応するための政策や技術を進めることを示す。高潮や洪水に対する護岸整備、品種改良や遺伝子組み換えによる温暖化した気候下での作物の確保などがあげられる。

また「6.緩和策」は、温室効果ガスの排出量を抑制し、CO2 濃度を小さくするための政策、技術の導入を示し、省エネや再生可能エネルギーの推進、森林管理による吸収源の確保、排出量取引などの経済メカニズムの活用等が含まれる。

「7.社会システム」は、企業の取り組みや、人々の社会的価値観やライフスタイルの変化、教育など、国民・社会のあり方を表すフェーズである。社会の変容を経てまた1.のフェーズに入り、温室効果ガスの排出量は随時変化していく。

このように、これらの7 つのフェーズのサイクルを時間と共にらせん状に繰り返していきつつ、低炭素社会へと向かっていくものとする。

研究者による研究課題のマッピング

ここで設定した7つの各フェーズに対して、現在の研究課題として出てきているものをキーワードとしてまとめたものが次の図である。

この温暖化マッピングを用い、温暖化研究の課題と研究成果に関する俯瞰的な分析が行われている。

各フェーズにおける代表的な科学的問い

  1. 人為的な GHG 排出量と発生源はどう推移していくか?
  2. 炭素の大規模循環、濃度変化や、温暖化に関わる環境変動要因はどうなっているか?
  3. いつどのような気候変化、海面水位変化を生じるか?
  4. どのレベルの気候変化で人類・生態系に危機が生じるか?
  5. どのような適応政策が必要か?技術によってどこまで適応可能か?
  6. どのような緩和政策が必要か?技術によってどこまでGHG 排出を抑制できるか?
  7. 価値観、ライフスタイルをどう変化させられるか?

出典:IR3S/TIGS 叢書No.2「サステイナブルな地球温暖化対応策」

(文責:山口ゆ)

1月19日(第12週)住明正先生

公開日:2011年12月20日

投稿者:fukui

住 明正 Sumi, Akimasa

東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 
地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクター・教授

昭和46年6月 東京大学理学部物理学科卒業
昭和48年3月 東京大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程終了
昭和48年4月 気象庁東京管区気象台調査課
昭和50年4月 気象庁予報部電子計算室
昭和54年2月 ハワイ大気象学教室助手
昭和56年5月 気象庁予報部電子計算室
昭和60年4月 東京大学理学部地球物理学教室助教授
平成3年7月  東京大学気候システム研究センター教授
平成7年10月 東京大学気候システム研究センターセンター長を兼任(16年3月まで)
平成17年8月 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクターを兼任
平成18年11月 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構・教授(特任教授を兼任)

主著
  • 1986:気象における予測、予測(朝日出版社)
  • 1993:気候はどう決まるか(岩波書店)
  • 1999:地球温暖化の真実(ウェッジ選書)
  • 2007:さらに進む地球温暖化(ウェッジ選書)
参考資料