理想の教育棟・ZEBLOG

東京大学駒場キャンパス・理想の教育棟のZEB(Zero Energy Building)広報チームの活動レポートです。

田村氏講演 予習-2(環境設計)

公開日:2011年11月9日

投稿者:komcee2011

今回の講演者である田村氏が現代社会の課題として取り上げられている循環型社会への転換等に関わる「環境設計」について田村氏が現在ディレクターをつとめていらっしゃる類設計室の資料をもとに書いていこうと思います。

現在の建築にはデザイン性や住み心地だけではなく環境との調和、環境への影響削減、循環サイクル形成、自然エネルギーの利用や防災機能が求められています。そして、それらに関する専門技術(太陽光発電等)を統合し建築計画に反映させ、その計画を施工段階や現場の段階でもリードしていく仕事が環境設計であり、まだ比較的新しい分野ではありますが全建築の中で環境設計とその周辺分野の工事費に占める割合は40%、技術者数は20%といった統計が出ています。これからもわかるように現在の建築において環境設計の重要度はかなり高いと言えます。

そのような需要が出てきた背景には現代社会の様々な問題があります。現代社会では市場拡大や科学技術発展を追い求めてきた結果として、地球環境の破壊が続いています。そういった問題に対し、環境設計の行おうとしている最大のテーマは昔のような「循環型社会」への転換であり、それを進めていく上で主に以下の4つの理念があります。

  • 環境保護
  • 新たな場の形成
  • ビオトープといった人間の時代にふさわしい空間形成
  • 社会や地域に開かれた情報基盤の整備

これらの理念は例えば類設計室の次のようなプロジェクトに見ることができます。川崎市ゼロ・エミ工業団地計画では、建設時は現場の廃棄物をゼロにしたり、リサイクル資材などの利用を進め、稼働後は廃棄物・エネルギー・水の徹底的なリサイクルを行うことを計画しています。他にも琵琶湖環境科学研究センターでは開かれた研究をするための情報基盤の整備が行われ、越谷市中心核施設においては市民と共にビオトープなどの自然を再生する活動を行うようです。

参考

http://www.rui.ne.jp/architecture/projects.html

身近な例でいうと、これらの考えは21 KOMCEE(理想の教育棟)の設計コンセプトである「ゼロ・エネルギー・ビルディング」、「アクティブ・ラーニング」、「周辺環境との共存」とも一致しています。ゼミ当日(11月10日5限)には21KOMCEEの建設プロジェクトにおける思考と実現の軌跡といったこともお話下さるようですので、21KOMCEE建設にあたってどのように環境設計の考えが関わっていたのかについてなども詳しくうかがうことができるのではと思います。

最後に、「自然と調和した建築」をどうつくるか、「人間的な空間」とは何か?これらは環境設計の場で考えられている重要な問題です。そのため、講演でもおそらくこういったことも話題になるかと思うので、これらの問いに対する自分なりの答えを考えながら田村氏の講演を聞くと面白いと思います。

(文責:栗原)

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