高見氏講演復習-3
公開日:2011年11月8日
投稿者:komcee2011
講演終了後、KOMCEEのカフェテリアKOMOREBIにて、高見さんと関心の高い学生との間で懇親会が行われました。その際にお聞きした内容をまとめます。
小・中学校と大学とではエコへのアプローチの仕方に違いがあるべき
エコへの取り組み方という点で、大学には小・中学校などとは違った役割を期待している、と高見さんは言われていました。
小・中学校では照明はこまめに消す、太陽光をできるだけとりいれる、暖房の設定温度を下げるなど比較的身近で、私たちが思い浮かべる日常的なエコ活動が中心になりますが、大学は少なくとも各県に1つずつその地域を代表する国立大学があり、研究設備が整っているのだから、周囲に1つのモデルとして示すためにも先進的なエコ活動を行い、社会のエコをリードしてほしいということです。
その例として、外壁のほとんどが太陽光パネルで埋め尽くされた東工大のゼロ・エミッション・ビル、エネルギー環境イノベーション棟があがりました。外壁を太陽光パネルで埋め尽くすというのは、効率的に本当にいいのかは少し疑問ではありますが、敷地ギリギリの東急大井町線と目黒線の交点にあるため、電車内から見る何気なく見る人にも大きな印象を与えることは間違いありません。
防災の意識の風化
防災の意識というのは今のような震災直後の時期は高いですが、いつ起きるか、また本当に起こるかさえ分からない災害への意識を保ち続けるのは難しく、たいてい2, 3年で風化していってしまいます。
実際に阪神大震災後にとられた対策設備費も、だんだん防災意識が低下して予算が厳しい中で削られていってしまうということが少なくなかったようです。限られた予算の中で、差し迫った問題と起こるかもしれない災害のどちらにお金をかけるかというのは難しい問題で、結局今持っているような問題意識を持ち続けないと、今回の震災の経験を生かした長期的防災政策は困難だということです。
防災の担当
学校の防災、というものを考えたときそれは文部科学省の担当するものなのでしょうか。あるいは国土交通省の担当という考えもあるかもしれません。
実際にその線引きは曖昧で難しく、困っているところだそうです。どちらかだけで進めていくというわけにもいかないわけで、しかし両方別々にやっていくとどこかで重複する部分がでてきて、その無駄が「仕分け」られてしまう危惧もあり、各省ともなかなか思い通りに進めるのは難しいということになるそうです。
海外のZEB的な取り組み
外国のエコ活動の進み具合はどうなのか、という話になったとき、東工大ではないですがこれまた太陽光パネルをふんだんに使用したドイツのゼロエネビル・ソーラーファブリック社が話題になりました。
調べてみたところこの会社は現在環境先進国であるドイツの国内の太陽光パネルのシェアの20%を占めていて、工場はやはり太陽光発電と菜種油で100%ゼロ・エミッションを実現しているということです。また、お隣の韓国では学校のZEB化計画が国の方針として進められているという話もありました。このようにEU諸国・米・豪・韓など環境対策先進国ではZEB化というのは当然のように進められていることのようです。
本当にいろいろな方向の話を高見さんから聞くことができた、有意義な懇親会だったと思います。高見さんわざわざお越しいただき本当にありがとうございました。
(文責:藤縄)