大岡先生講演 予習-2
公開日:2011年11月30日
投稿者:sakaguchi
その他のZEBの取り組み
経済産業省の報告書では、ZEB達成のための取組として、以下が挙げられています。
設計時のZEB(関連する省エネ法の規制:建築物に係る措置)
- 要素技術
―設計に依存するもの(躯体(床や壁、梁など建物の構造を支える骨組のこと)に関連するパッシブ建築など): 躯体の断熱、日射遮蔽、自然光の照明利用、外気を活用した空調、空調搬送方式など
―機器に依存するもの: 空調熱源、照明、空調搬送機器、OA機器、太陽光発電など - 外部とのネットワーク: エネルギーの面的利用、都市の未利用エネルギー(河川熱、ごみの下水などの都市排熱等)の活用など
- これらの総合設計(パッケージ化)と統合制御(システム導入)
運用時のZEB(関連する省エネ法の規制:工場・事業に係る措置)
- 天候や利用人数なども踏まえたPDCAを回しながらの運用改善(チューニング、コミッショニング)
- エコオフィスやワークスタイルの見直し、働き人の意識改革
- テナントとオーナーの取組
など
いくつか分かりにくい言葉があるので解説しておきます。
パッシブ建築とは、特別な動力機器を使わず、建築設計の工夫によって太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを利用して、暖房や冷房(室内気候調節)を行おうとするものです。
つまり、新しい技術だけでなく、建築のデザインによっても、エネルギー効率を上げることが出来るということで、例えば太陽光を電力源としてではなく、暖房効果や、光源として、直接取り込むというものです(ダイレクトゲイン)。
エネルギーの面的利用とは、日本に多くみられる狭い土地の中高層ビルの場合、ビル単独でゼロ化することは困難なので、ビル外部のエネルギーを活用することで削減効果を高めようとするものです。
具体例としては、地域冷暖房によるエネルギー施設の集約や、地域冷暖房のネットワーク化が挙げられます。地域冷暖房とは、駅やビル、商業施設、マンションなど地域内の建物に対し、まとめて冷暖房や給湯を行うシステムで、そのコアとなるのが、未利用エネルギーの使用です。地下熱、河川熱、海水の熱といった自然のものから、ビルの排熱、地下鉄の排熱など、人工的なものまで、今まで使われずに消えてきたエネルギーを利用することで効率をあげようというものです。
運用時のZEBについてですが、こちらは理想の教育棟でも重要視されています。窓の開け閉めを効率的に行うことを促すシステムが、これに当たります。理想の教育棟では、室内と外の気温、湿度を測り、窓を開けるべきか、閉めるべきかを自動で判断し、部屋の中で表示します。そうすることで、冷暖房の利用を最小限に抑えることが出来ます。
また、その他にも、冷暖房をできるだけ使わないようにすることを奨励し、社内の評価システムの組み入れている起業もあり、ZEBへの取り組みと言えるでしょう。
以上のような取り組みを通して、一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなるような建築物、ZEBを作ることが目指されています。
その解決策は必ずしも最先端の技術ばかりではなく、建築デザインの工夫や、意識改革といったものも、大きな役割を果たしています。
参考URL
(文責:中村)