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東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属
教養教育高度化機構初年次教育部門

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2018.09.05「LGBT医療福祉フォーラム2018」を開催します

カテゴリー:イベント

日時:2018年10月13日(土)・14日(日)
場所:東京大学駒場Iキャンパス 21 KOMCEE West, East
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_55_j.html

対象者:医療・福祉専門職の方およびLGBT支援に関心のある一般の方
参加費:3,500円[一般]/1,500円[学生]
    2,500円[一般・事前登録]← 10/1申し込み分まで
    2,000円[医療福祉従事者交流会、事前申し込み必須]
主催:カラフル@はーと、東京大学教養教育高度化機構 初年次教育部門
参加申し込み:Peatixページ
イベント詳細アップデート:Facebookページ
お問い合わせ先:lgbtcolourfulheart_at_gmail.com (カラフル@はーと)
        _at_ を@に差し替えてご送信ください。

  • すべてのセッションに手話通訳とUDトークによるサポートがつきます。

会場入口とフロアマップ


プログラム

 

10月13日(土)

「シンポジウム LGBTのいのちと暮らしを守る」は、会場1で実施し、会場2に中継する予定です。

関連書籍の現地での販売は、13日 16:00-18:00 にEast地下1階 ホワイエ(渡り廊下)で行う予定です。

 West 001 会場1
(LH, レクチャーホール)

East K011 会場2West 003 会場3
(MMホール)
13:00-15:10シンポジウム
LGBTのいのちと暮らしを守る
15:20-17:00LGBTに関する医療福祉
分野の専門教育
LGBTと貧困マインドフルネスを体験してみよう!
のセルフケア実践講座
(15:20-16:20)
17:30-19:30医療福祉・支援者交流会

第1会場 13:00-15:10 シンポジウム 「LGBTのいのちと暮らしを守る」

「LGBTのいのちと暮らし」と聞き、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。そもそもLGBTの人々は、「いのち」や「暮らし」に困っているのでしょうか。もしそうであれば、どんなことに困っているのでしょうか。あるいは問題を解決したり、サポートできるのはいったい誰なのでしょうか。

LGBTが各ライフステージで経験する問題は多岐に渡りますが、その多くは世間一般に知られているとは言えません。学校や職場でのカミングアウト、制服やトイレ、いじめ・差別・偏見、自分を隠し続け自尊心が低くなること、法的に保証されないパートナーとの関係、老後のライフプラン・・・「いのち」や「暮らし」の大小さまざまな問題を、共に知り、考え、理解を深める場を作りたい思いで、シンポジウムを企画しました。

今回のシンポジウムでは、「LGBT」と「医療・福祉」の重なる領域で活動をされてきた3名のシンポジストを迎えます。 林直樹氏 には精神科医として臨床の現場に立ちながらLGBT支援に携わった経験を、桂木祥子氏 には精神保健福祉士としてのLGBT支援経験や社会資源のあり方について、浅沼智也氏 にはトランスジェンダーの看護師として働きながら啓発やピアサポートに携わってきた経験を、それぞれ詳しく話していただく予定です。クロストークやフロアを交えた質疑応答の時間も用意しています。ぜひご参加ください。

第1会場 15:20-17:00 「LGBT に関する医療福祉分野の専門教育」

本分科会では、日本における医療・福祉従事者へのLGBTに関する教育の現状について、医療・福祉の利用者、学生、各専門職の研究者とそれぞれの立場から共有します。更にフロアの参加者とともに今後どのような教育が必要かを論議し、教育を広めていく方法についてついても考察していきます。

<司会>  吉田絵理子
医師、 社会人大学院生として病院勤務をしながらLGBTと医療に関する研究を行っている。2018年よりLGBT当事者医師としての講演活動も開始した。

<シンポジスト>
鮫島甲太: 医学部5年生、 IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本) SCORA(性と生殖・エイズに関する委員会)の委員として多様な性や性感染症の啓発活動などを行っている
次六毅智:  看護師、訪問看護ステーション勤務(精神)、大学院博士前期課程看護管理学修了(看護学修士)。修士論文テーマは「セクシュアル・マイノリティが経験した不安や困難と看護師の関わり」
中島蓮:  医学部栄養学科の学生、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)SCORA(性と生殖・エイズに関する委員会) Rainbow Flag Project責任者、中学生のときにトランスジェンダー(FtM)であると自覚し、大学生としてカミングアウトをしながら生活している
佐々木 宰: 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員。介護福祉士養成施設教員を経て、2016年より介護福祉関係の研修・研究機関に所属
松灘かずみ: カラフル@はーとのスタッフとして女性ミーティングを担当。東京YWCA「DVサバイバーと協働するための支援者トレーニング」トレーナーチームにも所属

第2会場 15:20-17:00 「LGBTと貧困」

病気で働けなくなった。非正規労働で低賃金だ。家族と折り合いが悪く、暴力を受けたことがあるので頼ることができないーー。このような現象はだれにでもおきうることですが、一般的に社会的にマイノリティである人ほど、このようなリスクに直面しやすく、またこのような状況に陥った場合のダメージが大きいと言われています。学校で、会社で、自分のことを理解してくれる人が見つからずに所属を転々としたり、そもそも家族との折り合いが悪いために困ったとき頼れなかったり、地域社会でもだれに助けを求めたらいいかわからなかったりするLGBTの人々がいます。

「貧困」とは、単にカネがない=貧乏であるだけでなく、社会的に孤立し、つながりを得ることが難しい状態のことをさします。ひとたび貧困に陥った当事者たちをどのように支援に繋げていくか、具体的な事例を交えながら、NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい理事長の 大西連 さんと、 長年レズビアンやバイセクシュアル女性の支援に関わってきたLOUD代表の 大江千束 さんのお二人に伺います。

第3会場 15:20-16:20 「マインドフルネスを体験してみよう!――こころのセルフケア実践講座」

「マインドフルネス」という言葉をご存知でしょうか。仏教にルーツを持ちながら、現在では認知行動療法のひとつとして精神科・心療内科など医療現場を中心に使われるようになった技法です。抑うつや不安の軽減に効果があり、ストレス対処にも効果的な方法です。グーグル社などで社員の心の健康対策として導入されたことも話題になりました。

LGBTの人々はメンタルヘルスの領域ではハイリスク群とされています。その理由はいくつか考えられますが、セクシュアリティを開示できないことによるストレス、セクシュアリティを開示したことによる周囲との関係性の変化、社会的偏見や差別、スティグマによる自尊心の傷つきや自己価値の低下など、主に心理社会的要因が指摘されています。こういった少数者性に起因するストレスは「マイノリティストレス」と呼ばれ、普段の生活では意識されないことも多いですが、メンタルヘルスを慢性的に低下させる要因となっています。これまでの調査では、LGBTは一般集団に比べて抑うつ傾向が強く、希死念慮や自殺企図の率も有意に高いことが明らかにされており、解決すべき喫緊の課題のひとつです。

分科会では、マインドフルネスを体験しながら、ストレスとの付き合い方について学びを深める予定です。対人援助職はストレスフルな現場に身を置くことも多いですから、参加者の皆さんのメンタルヘルス対策にも活用していただけると思います。ぜひご参加ください。

 

10月14日(日)

 West 001 会場1
(LH, レクチャーホール)
East K011 会場2East K212 会場4
10:00-11:30LGBTとDV/性暴力被害LGBTの子ども若者支援地域支援者のための入門セミナー
HIV/エイズ、依存症、
セクシュアルヘルス
11:30-13:00昼食休憩
13:00-14:30GID/トランスジェンダー
と医療
事例から学ぶLGBTと
医療福祉
誰が何に困っているのか?
14:40-16:10地方自治体における
LGBT支援
LGBTと介護

14日は構内の生協食堂と購買が休みですので、昼食時は混雑が予定されます。
近隣のランチマップを参考にしてください。

第1会場 10:00-12:00 「LGBTとDV/性暴力被害」

最近、LGBTsへの差別や偏見についてはメディア等でよく、取り上げられています。しかし、LGBTsのカップルの間にもDVがあり、同性間やLGBTsが被害者であったり加害者ともなる性暴力もあることはあまり知られていません。

 今回は講師に 田中玲 氏と 辻雄作 氏のお二人をお招きして「DVとは何か」「性暴力とは何か」をかいつまんで説明しつつ、実際の経験談や事例などを中心に話しを進めていきます。

司会の 松灘かずみ 氏は現在カラフル@はーとスタッフ。最近はをキーワードにしたネットワークにも関わり、東京YWCA「DVサバイバーと協働するための支援者トレーニング」トレーナーチームにも所属しています。 辻雄作 氏は、LGBTs・男性・若者など相談員、性暴力・DV被害者支援員。性暴力やDVの被害者支援や加害者更生教育、LGBTs、女性、男性の相談などの活動、90年代から実践しており、ロビイングなども行っています。

  田中玲 氏はかたり場malu副代表。27年前、MTFレズビアンの人に誘われコミュニティデビューをし、LGBTQを横断してきました。18年前くらいまで一緒に暮らしていた元恋人からDV、性暴力、ストーカー被害にあい、そこから匿ってくれた恋人には精神的暴力を受けた経験を持ちます。

第2会場 10:00-12:00 「LGBTの子ども若者支援」

LGBTの子どもや若者にとって、差別や偏見にさらされず安心していられる居場所があることは、自己肯定感をはぐくむうえで非常に重要です。いまの日本において、そうした居場所がすべてのLGBTの子ども若者のアクセス可能な範囲にあるとはいえませんが、近年では、学生サークルや自治体と連携した居場所づくりがすこしずつ増えてきています。

医療福祉の現場においても、多様な性をもつ子どもたちへの対応が求められます。子どもたちのニーズは一人ひとり異なっていますが、それらを正確に把握するためには、かれらがどのようなことに困りやすいのかをある程度知っておく必要があるでしょう。また、子どものニーズを実現するためには、周囲の大人の理解や協力が必要になることも多いことから、専門職としてどのように支援者を増やしていくか、周囲を巻き込んでいくかという関係調整のスキルも求められます。そこには、保護者をはじめ、学校の教員や地域の子どもにかかわる機関、LGBTの若者支援団体等との連携が含まれます。

本分科会では、LGBT若年層支援に取り組む 星野慎二 さん、児童養護施設におけるLGBTの子どもの調査をおこなっている 藤めぐみ さん、トランスジェンダーの子どもを支援する精神科医の 康純 先生のお三方から、これまでの活動や今後の課題などについてお話しをうかがいます。現在、子どもとかかわる現場で働いている方はもちろん、子ども若者支援に関心のある方は、ぜひご参加ください。

第4会場 10:00-12:00 「地域支援者のための入門セミナー――HIV・依存・セクシュアルヘルスの支援」

薬物使用などのメンタルヘルスやHIV/エイズなど性の健康に課題を抱えたLGBT当事者は、コミュニティの中でもなかなか声をあげにくく、支援を受けられないでいることがあります。元々抱えている悩みに加えて、相談先がわからない・受け入れてもらえるか不安、などと相談を躊躇してしまうこともあります。一方、司法や精神保健、高齢者・障害者福祉等の支援機関で、はじめてLGBTの課題が浮かび上がることもあり、地域の支援者の理解の促進が望まれています。

行き場を失いがちな難しさを抱えたLGBTを地域でどう支援していくのか。現場の専門家や当事者と一緒に考えます。

登壇者(敬称略)
浅沼智也
カラフル@はーと共同代表。看護師。
谷山廣
機能不全家庭での虐待や依存症発症を経て、依存症自助グループに繋がり、12ステッププログラムの実践を通して回復を続ける当事者。
上岡陽江
精神保健福祉士。薬物・アルコール依存症女性の回復と自立をサポートすることを目的に設立されたダルク女性ハウス代表。著書に『生きのびるための犯罪(みち)』、共著に『その後の不自由』ほか。
生島嗣
社会福祉士。NPO法人ぷれいす東京代表。HIV陽性者、パートナー、家族のための相談支援に従事。研究活動はHIV陽性者の就労、ゲイ男性の薬物使用、メンタルヘルス、HIV啓発をテーマにしている。

司会: 大槻知子牧原信也 (ともにぷれいす東京、社会福祉士)

第1会場 13:00-14:30 「GID/トランスジェンダーと医療」

トランスジェンダー(Transgender/TG)とは出生時に法律的・社会的に割り当てられられた性別とは異なる性別を生きる人(またはそれを望んでいる人),GID(Gender Identity Disorder/性同一性障害)とは「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM)に表記された医学的な診断基準でこの診断を受けた人のことを指します。2013年のDSM-5からは性別違和(Gender Dysphoria/GD)という新たな基準に変更され、GIDに比べ多様な性自認の人々に幅広く当てはめることが可能になりました。

この分科会では、数多くのTG/GID(GD)当事者と臨床の現場でかかわってこられた専門家・はりまメンタルクリニックの 針間克己 院長にGIDから性別違和への変更についてをメインに現在の日本のTG/GID(GD)と医療についてお話していただきます。

また、TG/GID(GD)当事者はその治療だけではなく、日常的な医療機関の受診や医療サービスを受けることに対する壁を感じる場面が多いという話をよく耳にするため、今回独自にTG/GID(GD)当事者を対象にした医療に関するアンケート調査を行い、その中間結果を発表します。内容は、TG/GID(GD)当事者であることを理由に病院などの医療機関への受診を抑制した経験や受診・入院した際に不快な経験をしたこと、反対に配慮があって嬉しかったことなどです。TG/GID(GD)当事者も複数登壇し、実際の体験談を聞くことが出来ます。その後登壇者同士でのクロストーク、会場とのディスカッションを予定しています。
TG/GID(GD)医療の専門家や当事者の話を直接聞ける貴重な機会です。

第2会場 13:00-14:30 「事例から学ぶLGBTと医療福祉――誰が何に困っているのか」

LGBTは今やブームとまで言われ、その言葉を見聞きすることは日常的になりました。世の中の理解が少しずつ進む中で、様々な領域における課題が明らかになりつつありますが、医療・福祉の分野ではどうでしょうか。HIVなど特定の領域は先進的な理解と取り組みを始めていますが、その他の医療福祉分野ではまだ十分な理解と配慮がされておらず、私たち専門職の多くは「誰が何に困っているのか」分からずにいると言って良いでしょう。

この分科会では、「LGBT」と「医療福祉」の交わる領域で困難を経験した実際の事例を紹介します。事例を通し、医療福祉に携わる専門職がLGBTにどのような認識を持つべきか、また何を提供できるのか等、学びを深める場にしたいと思います。ベテランの方から「LGBTがまだよく分からない」という方まで、多くの方のご参加をお待ちしています。

 なお、当日は多職種での簡単なグループワークも予定していますので、会場では周囲にお声がけいただき、できるだけ職種が偏らないようご着席ください。

第1会場 14:40-16:10 「地方自治体におけるLGBT支援」

昨今、地方自治体によるLGBT支援が活発になっています。これまでLGBTの人々は地域社会で暮らしていても、しばしば沈黙を強いられ見えない存在にされてきました。学校や職場、医療・福祉サービスへのアクセスなどで困りごとがあっても、当事者たちはそもそも「行政を頼っていい」という発想さえ持ちにくかったのです。それが今、少しずつ変わろうとしています。

本分科会では、LGBT支援に取り組む自治体として 横須賀市、千葉市、那覇市の担当者の3名をお招きします。横須賀市は全国に先駆けてLGBTなどの性的マイノリティ支援に取り組み、2018年5月には「全国でもっともLGBT支援施策に取り組んでいる自治体」として話題になりました。横須賀市は市立病院において、緊急搬送時の病状説明や手術への同意書への署名などの場面で同性パートナーを親族と同様に扱うことを明言しています。千葉市は今年、市職員や関係者が正しい理解のもと、適切な対応ができるように「LGBTについて知りサポートするためのガイドライン」を策定しました。那覇市はカミングアウトしにくい地域性がある中、2015年「性の多様性を尊重する都市・なは宣言」を実施。現在、戸籍上同性のカップルを対象とするパートナーシップ登録を行なっています。分科会を通して、どのようなLGBT支援施策を行っているかや、取り組みの中でどんな工夫があったかを詳しく伺います。

第2会場 14:40-16:10 「LGBTと介護 ~多様なニーズ・ともに創る介護」

だれもがたずさわる可能性のある「介護」という営み。その介護の現場での、セクシュアルマイノリティへの理解やニーズの認識は、まだ途上という現状があります。そこには、プライバシーに関わり、かつ継続的なサービスだからこそ、プライベートなことの「言いにくさ」や、セクシュアリティや生活の価値観などの違いにより、セクシュアリティやニーズの表明をするかどうか、どのようにサービスを利用したいか、などにも違いがあるという側面もあります。また、介護サービスに関わる多職種への多様なセクシュアリティについての教育・研修の必要性などの課題もあります。

その中で、セクシュアルマイノリティ当事者が、パートナーとの関係や、支援へのニーズなどを伝えて、安心して介護サービスを利用したいと望んだ時、どのようにしてともに考え、ケアプランを創っていけるでしょうか?また介護サービス従事者が、セクシュアリティや家族の在り方の多様性を理解し、ニーズに寄りそう支援を提供するために必要な取り組みとは何でしょうか?

この分科会を通して、多様なニーズに寄りそう介護について、現状や課題を皆様と共有し、考えていければと思います。また、介護サービスを受ける時、自身や家族・周りの大切な人の思いを尊重するための意思表示や選択などのために、「今からできる介護・老後への備え」としての情報や制度について、共有できればと思います。