2014年夏学期 テーマ講義:東京大学教養学部

2012繁田奈歩(6月11日)

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Shigeta, Naho

インフォブリッジホールディングス
代表取締役

1975年生まれ、2000年東京大学教育学部卒業。インド・ニューデリー在住。

インドを中心に日系企業のインド進出をマーケティングリサーチ、マーケティングコンサルティング方面からサポート。
日本での各種インドセミナー、インド関連記事の執筆も多数行う。
1999年 (株)インフォプラント(現(株)マクロミル)入社。
2002年 同社取締役就任。
2004年 (株)インフォプラント社海外担当取締役就任、同社海外子会社インフォプラントチャイナ設立、董事兼総経理就任。
2006年 (株)インフォプラント退任、INFOBRIDGE HOLDINGS GROUP LIMITED.設立、CEO就任、中国事業の他インド事業を開始。
2008年 東京にインフォブリッジマーケティング&プロモーションズを設立、代表取締役就任、Market Xcel Data Matrix Pvt. Ltd.(インド)に出資、MXの取締役就任。

講演要旨

今回の講義は繁田先生の実体験を中心に、様々なことをお話し頂きました。繁田先生は今では企業家として有名ですが、大学入学当初は、漠然と将来の選択肢は官僚か研究者なのだろうと考えていたといいます。
しかし、たまたま旅行で行ったインドで、バックパッカー向けの安宿送迎サービスを思いつき、シゲタトラベルという会社を設立しました。この時には色々と苦労をしてタフになると同時に、ビジネスで人は死なないということに気付いたといいます。その後大学在学中は旅行会社を続けましたが、ビジネスに対する理解が中途半端で本質的なビジネスマンになれないと感じるようにもなり、やめられたとのことです。
日本に帰国後しばらくして、インフォプラントが新しいビジネスを始めるためのメンバーとして迎えられました。その時は体力を売りに多くの実務経験を積み、この期間を通じてビジネスで大事な事はほぼ全て学べたと語られました。この時の教訓は、学歴よりも、行動したもの勝ちである、ということです。また、三年程度の実務経験は習得するべきスキルを身につけるという意味で重要であり、その期間で学んだことがその後の人生を大きく左右すると、語られました。
2004年、多くの日系メーカーが中国市場重視を打ち出すなか、インフォプラントも中国進出を決定しました。インドで再びビジネスを興したいと考えていた繁田先生は、その第一歩として中国に赴任することを決意されました。その後、自ら中国事業を買収して独立され、念願のインド事業へと徐々にシフトされていったのです。この時の教訓は、時代の流れを読みながらもどの選択肢を選び集中していくのかが重要であるということと、資本主義の世界では株をもたないと意味がない、ということだったといいます。
インドにおいては、市場調査だけで顧客を十分に満足させる成果を出せないと考えるようになる一方で、他の領域のどこにチャンスがあるのか、インド市場は何者なのか等が分かってきたことから、新しい展開を模索するようになります。日印ビジネスというニッチな世界で一定のブランドを築き上げられた現在では、市場調査だけでなく顧客との新規事業創出と顧客のインド進出に対するビジネスサポートという三つの領域で事業を展開されています。
これらの経験を踏まえて繁田先生が人生で学んだことは以下の三つだと言います。第一に良いアイディアはやったもの勝ちであるということ、第二に歴史は繰り返すので大きな流れの予測から逆算して考えること、そして第三に、それぞれの国の人々に対して「~人だから」というとらえ方をせず、実際に目の前にいる相手を理解しようとすることが重要だということです。最後に学生へのメッセージとして、全ては自分の選択の結果であり、運命は自分次第であると締めくくられました。

(担当: 文科一類1年 小和口真聖)

講義の様子

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ご自身が人生で一番学んだことは、全ては自分の選択の結果であるということとお話しされ、自分が選んだ道で生きていくことが重要だとのメッセージで講義を結びました。
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講演後には多くの学生から多様な質問が出され、講義内容を発展させるような活発な質疑応答がなされました。