内永ゆか子(6月3日)
株式会社ベネッセホールディングス 取締役副社長
ベルリッツコーポレーション 名誉会長
特定非営利活動法人 ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(J-win) 理事長
元日本アイ・ビー・エム株式会社 取締役専務執行役員
(略歴)
1971年 6月 東京大学理学部物理学科卒業
1971年 7月 日本アイ・ビー・エム株式会社入社
1995年 4月 取締役 アジア・パシフィック・プロダクツ担当
1999年 7月 取締役、ソフトウェア開発研究所長
2000年 4月 常務取締役、ソフトウェア開発研究所長
2004年 4月 取締役専務執行役員、開発製造担当
2007年 4月 日本アイ・ビー・エム定年退職 技術顧問
2007年 4月 特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネット
ワーク(J-Win)理事長
2007年 6月 株式会社 ベネッセコーポレーション 取締役
2008年 4月 株式会社 ベネッセコーポレーション 取締役副会長
ベルリッツ コーポレーション 代表取締役会長兼社長兼CEO
2009年10月 株式会社ベネッセホールディングス 取締役副社長
ベルリッツ コーポレーション 代表取締役会長兼社長兼CEO
2013年 4月 株式会社ベネッセホールディングス 取締役副社長
ベルリッツ コーポ―レーション 名誉会長
(社外取締役)
2008年 6月 ソニー株式会社
(その他)
1999年 4月 米国WITI(ウィメン・イン・テクノロジー・インターナショナル)
殿堂入り
2002年11月 ハーバード・ビジネス・スクール・クラブ・オブ・ジャパン ビジネス・
ステーツウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞
2006年10月 米国女性エンジニア協会SWE(ソサエティ・オブ・ウィメン・
エンジニアズ) アップワード・モビリティ・アワード受賞
(著書)
『部下を好きになってください』 (勁草書房,2007.1)
『日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル』 (朝日新聞出版社,2011.9)
講演要旨
元日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員であり、現ベルリッツコーポレーション名誉会長でいらっしゃる内永ゆか子さんが“グローバルに活躍する人材の要件とは”と題しご講演くださいました。
1971年、東京大学理学部物理学科卒業の後、36年間にわたり日本アイ・ビー・エム株式会社でご活躍なさいました。学生時代の専攻から、長らく開発製造や基礎研究に携わっていらっしゃいました。この部門は、社内でも常にグローバル規模で展開され、インターナショナルな競争に置かれていたそうです。また、同社内で女性初のCEOとしてもご活躍されます。
その後、まったく分野の違うベルリッツコーポレーションに舞台を移されます。そのお気持ちは“グローバルの「中枢」にいたい”というものであったといいます。ベルリッツコーポレーションは、135年以上の長い歴史を持つ企業であり、現在は約50カ国語のサービスを世界76カ国に展開しています。他の企業と比較し、シェアがより広域な国々に均等に分散していることが特徴だそうです。内永さんは、ベルリッツコーポレーションに移籍されてから、“グローバル人材を真剣に考える”ようになった、とおっしゃいます。それは、顧客のニーズが、ただ外国語を喋れるようになるだけではなく、グローバルなビジネスにおいて活躍したい、というところに集約されるからでもあるそうです。
内永さんは、特にITやネットワークの分野において今後も急速に成長する、と予想されます。このことは、世界が実際の物理的な距離ではなく、“論理的に狭く近くなる”ことを示す、と警鐘を鳴らされます。つまり、自分達の生活に“世界の裏で起きたことが今日明日に影響して来る”ということです。さらに、“将来を予想するのは無理”とおっしゃった上で、“変化が起きた時にどれだけ速く対応するか”が成すべきことだと指摘なさいます。フォーチュン500に名を連ねる世界の名立たるCEO達は口々に“変革をリードできる人材がほしい”と回答しており、内永さんは“どの国で採用されようが世界で活躍する”ことを当然念頭に置くべきだとお考えです。
“フラット化する世界の中で今求められている人材とは、グローバルな環境下でリーダーシップを発揮できる人材”と示し、日本人としての得手不得手を踏まえ、特に不得意な部分を積極的にご指摘くださいました。
日本は、“極めて強烈なモノカルチャー”であると断言し、特に発言力・発信力が極端に不足していることを問題として取り上げられます。また、語学はただのツールであり、重要なのは、このツールを使っていかに円滑にコミュニケーションを行うか、ともおっしゃいます。
さらに、グローバル社会において“Who are you?”というアイデンティティは重要であり、どこに自分の価値観を置くか明確化が必要だとおっしゃいます。
続く質疑応答では、東大紛争まっただ中の学生時代に“ムキになって青臭いなりに考え抜いたこと”、ご自身の軸は決して完璧に定まっているわけではなく本や人との対話を経て考え続けていること、歴史が脈々と繋がっている日本の良さ、などをご回答くださいました。
大学生時代を“非常に貴重な許された時間”と称し、“妥協しないで徹底的に考え抜く”ことを学生達にエールとして送り、講義を締めくくられました。
講義の様子
「グローバル化の中でどれだけ自分のアイデンティティを持てるか」軸を持つことの必要性を伝える内永さん。
英語はコミュニケーションの道具で、それでどうやって意思疎通をとるかは全く別のスキル。本当に信頼しあえる人脈を世界中につくってほしいと語られました。