南場智子(4月15日)
株式会社ディー・エヌ・エー
取締役 ファウンダー
1986年4月、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。
1988年、マッキンゼーを退職し、ハーバード大学へ。
1990年にはハーバード大学にてMBAを取得し、その後マッキンゼーに復職。
1999年に株式会社ディー・エヌ・エーを設立。同年、マッキンゼーを退職し、DeNA代表取締役社長に就任。
2011年6月、取締役就任(現任)。
講演要旨
マッキンゼー・アンド・カンパニーへの就職,ハーバード大学への留学,DeNAの起業,という豊富な経験をお持ちの南場さん。“グローバル社会とどう生きるか”という問題について,率直なご意見を軽快に語ってくださいました。
南場さんのお話は,大学生時代の就職活動から始まります。初めての就職活動に戸惑う様子や,憧れを持ちながらマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社していく様子が伺えます。マッキンゼー・アンド・カンパニーでの初任務のショッキングなお話は,会場が一体となって聞き入りました。ハーバード大学留学までの2年間のお仕事内容は,まるでドラマや映画を見ているかのようなものでした。“逃げるように”留学したハーバード大学での様子をコミカルにお話ししてくださり,会場からも笑みがこぼれます。
その後,“やっぱり日本が好き!”という言葉と共に帰国,再度マッキンゼー・アンド・カンパニーに戻られます。ご自身の実力への苦悩やクライアントとの葛藤を経て,初めて得た成功体験に話が進みます。“他人からの評価を気にしなくていい”,“できなくてもいい”,そんな心境にあったことが,成功に結びついたと言います。“いい仕事ができたこと”,“クライアントが喜ぶこと”が,この時初めて素直に喜べたそうです。
そこからのマッキンゼー・アンド・カンパニーでのご活躍ぶりは,聞いている我々までもが気持ちよくなるほどのものでした。成功をおさめ続ける中で芽生えた新たな目標から,起業という選択をなさいます。
DeNAの起業体験から,“なぜ人は働くのか”という疑問に迫り,さらに組織の存在価値にも言及します。その語りの端々から,ご自身の会社を愛していらっしゃることが伝わってきました。
“Skill × Passion”これがグローバル社会を生き抜く鍵になるとおっしゃっています。仕事の仕方は,従来の組織という形から,異なる形に変わっていくと考えていらっしゃいます。どのような仕事内容であっても,国家・国境をまたぐ状況になり,その中で競い合う相手がどのような人なのか,自分が選ばれ続けるためには何が必要なのか,学生にも分かりやすく説明してくださいます。
実社会では受験のように解答欄なんてないし,正しい回答もない,とおっしゃいます。その中でキーワードとして挙げられるは,“クリエイティビティ”と“間違い”です。
情熱的なお話しの中で,たくさんのヒントを我々にくださいました。これは,実際にグローバル社会を生き抜いてきた南場さんだからこそ語れるヒントなのでしょう。
受講生のレポート
本講義では「グローバル時代をどう生きるか」というテーマのもと、DeNA創設者の南場智子さんが講演して下さました。その内容は、“Skill×Passion”という言葉に代表されます。
前半部分では、ご自身の経歴と株式会社DeNAの活動についてお話しして下さいました。我々が想像する以上に多くの苦労と挫折を経験さなっていました。
大学卒業後のマッキンゼー・アンド・カンパニーでは、1日2時間しか眠れないほどの忙しさだったそうです。学生時代とは全く異なった環境のもと、熱心にお仕事に取り組まれます。その後、MBA取得のため、ハーバード大学に留学されます。在学中の様子をコミカルに語ってくださいました。MBA取得後、“やっぱり日本が好き”という言葉と共に、マッキンゼー・アンド・カンパニーに再入社されます。ここでも、事態は思うように進まず、プロジェクトでの失敗を経験し、それによる精神的なダメージは相当なものであったと言います。「辞職」という文字がちらつく南場さんに転機が訪れます。それは「辞める前に一つやってほしいプロジェクトがある」というパートナーからの誘いでした。このプロジェクトを最後に…という思いで仕事に取り組んだそうです。このとき初めて、他人からの評価が気にならなくなり、純粋にクライアントの役に立ちたいという気持ちが生まれたそうです。この心境が功を奏し、結果的にプロジェクトは大成功をおさめます。この「クライアントの役に立ちたい」という気持ち、“Passion”は、その後に続くキーワードになります。
後半部分では、“Skill×Passion”とは、具体的にどのようなものか、またどのようにして身に付くのかという内容に踏み込みます。
“Skill”とは「ある一点でとてつもない強さを発揮する力」もしくは「広い分野、どのような環境でも活躍できる力」を指します。グローバル化が進む現在では、自分が所属している会社に頼るのではなく、個人個人がこのような”Skill”を身につけ、世界から必要とされる人材になることが重要だと南場さんは説かれます。
また、“Passion”はどのようにして生じるのかという学生からの問いに対しては、「学生のうちから明確な“Passion”を持っている人はほとんどおらず、早く持とうと焦ることでもない。まず“Skill”を備えた有能な人材になり、結果を出す。そうしているうちに自然と何かに対する”Passion”が生まれてくる」とメッセージを送られます。
終始、楽しそうにお話しされていたことが印象に残っています。南場さんの言葉からは、世界で1番を目指す姿勢と自信が感じられ、そのスケールの大きさに圧倒されました。
(担当:理科一類2年 飯塚達哉)
講義の様子
会社は人の役に立つ上で、個人の能力を超えた貢献ができると話されていました。
学生からの質問にもユーモアを交えながらお答えいただき、活発な議論ができました。