2014年夏学期 テーマ講義:東京大学教養学部

2012黒田順子・黒田和秀(7月9日)

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Kuroda, Michiko

国連国際メディエーター / メディエーションおよび紛争解決研究所(IMCR)理事
東チモール国連平和維持活動官房長官

Michiko Kuroda is an International Mediator at the United Nations, and Certified Mediator in NY State. Former Chief of Staff at United Nations peacekeeping and peacebuilding missions in Timor-Lester. Her other experience includes: Senior Management Analyst in Department of Peacekeeping Operations, Senior Conflict Management Officer in the Ombudsman’s Office, Program Manager, Capacity Development Program, Headquarters Committee on Contracts. Currently, she teaches at Mercy College as Adjunct Professor. Board Member of the Institute of Mediation and Conflict Resolution, Bronx. Her publications include Early Warning and Conflict Resolution,(co-editor), McMillan & St.Martin’s Press, London & New York, 1992. Studied in Belgium, USA, Switzerland, in addition to her studies in Japan.

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Kuroda, Kazuhide                              

世界銀行 エチオピア・スーダン担当ユニット

東京都出身。ウォータールー大学科学部(カナダ)卒業。デルフト工科大(オランダ)、パリIV大学(フランス)留学を経て、マッギル大学(カナダ)で経営学修士号(MBA)取得。カナダ在住中に国民軍を経験。国連競争試験(経済・IT各分野)に合格し、旧災害救援調整官事務所(現人道問題調整事務所: OCHA)勤務。アルメニア大地震支援調整、第一次湾岸戦争避難民救援、1994年にはルワンダ紛争人道支援、北朝鮮人道支援調整等に関わる。1998年に世界銀行入行。社会開発局紛争予防復興ユニット(Conflict Prevention and Reconstruction Unit)で上級社会開発専門家として勤務。カンボジア、アフガニスタン、東ティモール、イラク、リベリア、北カフカス紛争地域・国後復興支援、世銀紛争・開発、脆弱国家業務政策作成に関わり、国連、世銀連携強化に尽くす。現在は国別担当ユニット(エチオピア・スーダン)所属。趣味は海・山スポーツ、ボサノバ。

 
 
 

講演要旨

今回の講義は黒田順子先生と黒田和秀先生のご夫妻が二部構成でお二人のキャリアについてお話くださいました。第一部では、お二人のお仕事の内容についてのご説明いただき、第二部では、それぞれが国際的なキャリアをどのように積んできたのか、そしてどのように家庭と両立してきたのかをお話してくださいました。
第一部では、まず黒田順子先生は国連の国際メディエーターのお仕事についてお話してくださいました。紛争地域におけるメディエーションとは平和創造、平和維持、平和構築の過程において、第三者として、紛争当事者の話し合い・相互理解を助けることだと言います。このような話し合いは自発的で非公式な交渉として進められるそうです。また、この話し合いの過程では、メディエーターは自分の意見を言ってはいけないということですが、自分の意見を自制するためにはトレーニングが必要だったと仰いました。そして、このような経験の具体例として東チモールでの国連平和活動について御紹介いただきました。
次に、黒田和秀先生は世界銀行の支援について、南スーダンを事例としてお話しいただきました。世界銀行は紛争問題に政治的には関与出来ないので、紛争予防と復興に対して支援していると言います。具体的には、中立なアドヴァイザーとして政府に対する経済分析情報の提供、開発プロジェクトの作成、他の支援国と調整、そして紛争地域の安定化が進んだ時点で国際会合の用意をするということです。このような、開発が紛争の予防になるという考えは、2011年に『世界開発報告書』のテーマとして「紛争・安全保障・開発」が選ばれたことにも表れています。しかし、平和構築の次のステップの支援として何ができるのかは難しい問題で、支援には相手国との信頼醸成が重要だと仰っていました。
第二部では、まず黒田和弘さんに個人的な経験としてグローバルに活躍するための秘訣を5点挙げていただきました。まず、①自分が何をしたいのかについての理想、自覚、自信が重要だとお話されました。また、世界60億人の中で、日本に生まれ大学に進学できるということは特権的な立場であるとし、②そのような特権にはリーダーシップを発揮する義務が伴うということを指摘なさいました。さらに、③専門についてはプロフェッショナルでなくてはいけないが、副業や趣味も持つことが重要だと仰っていました。そして、④居心地が良いと人間は進めなくなるとして、そう思ったらその環境から脱出することが重要性だと指摘なさり、最後に、⑤男女平等についての重要性に言及なさいました。
次に仕事と家庭の両立については黒田順子さんから5点の秘訣を挙げていただきました。まず、①当時女性の役割と考えられていた家事・育児の分担が重要だと言います。また、②相手を変えようとしないこと、そして関連して③自分のやりたいことを知り我慢しないことだと言います。これによってむしろ相手が自分をより理解してくれるようになると仰いました。また相互理解を進めるために④「喧嘩」も勧めていました。そして最後に、⑤物事を決める時には両方が意見を言うことの重要性を挙げていました。

講義の様子

kurodamichiko
お二人はそれぞれのお仕事について説明された後に、「国際的キャリアーと家庭」というセクションで両立する秘訣などもお話しされ、いつもと違う講義になりました。
kurodagkazuhide
国連で働きながらの子育てに関する質問に対して、国連や世銀で活躍している日本人女性が多くいる事を説明し、日本国内においても優れた女性がもっと活躍できるように待遇などを変えていく必要があると指摘していました。